ベストアンサーに選ばれた回答

北枕で寝ること自体はべつだん悪いことではありません

結論から言うと、北枕で寝るのは、別に不吉なことでも悪いことでもありません。どの方向に枕を向けるのが良いかというのは、それぞれの人間の体質や気質（＝命）、あるいはその時々の生命のリズム（＝運）によって決まるというのが風水の基本的な考え方だからです。ただ、日本で北枕が良くないと言い伝えられるようになったのにも理由があります。北というのは、宇宙を統率する天皇大帝として尊ばれてきた北極星がある方角。そのことから北方は、身分の高い人物が座るべき上座だと見なされてきたのです。したがって、そのような北は神聖な方位であり、軽々しく扱ったら悪影響を被るという認識が生まれ、それが転じて不吉な方角ということになりました。
また、仏教と関係する理由もあります。仏教では、お釈迦様が頭を北向けにして入滅したという言い伝えがあり、涅槃に入ることと入滅が結びつけられてきたのです。その流れで、やがて死者を弔う時にも北枕にするようになったことから、北という方角が「死」と結びつけられ、縁起が悪いことと考えられるようになりました。
繰り返しますが、主に以上のような理由から、北枕＝不吉説が囁かれるようになったものの、実際には必ずしも悪いことではないというのだということを強調しておきます。

重要なのは、南北方向に寝るか東西方向に寝るか

確かに日本では、北枕が良くないと言われることが多いですが、実際は風水的にもそんなことはないのです。むしろ重要なのは、「南北」と「東西」の違いだといえます。どういうことなのか説明しますね。
風水では、人体は一つの大きな磁石であり、地球が持っている磁器とそこから生じる磁場から強い影響を受けるのだと考えます。肉体のレベルで見た場合、身体の中心線付近にある臓器が弱かったり、何らかの疾患を抱えている人は体を南北軸の方向に向けて眠ると良いとされています。南北軸上に流れる地磁気により、中国医学でいう経絡（けいらく）と呼ばれる生命エネルギーの流れる経路を刺激し、健康回復を図ることが可能となるからです。他方、もともと消化器系が弱かったり、軽めの症状やトラブルを抱えている人は東西軸に横になって睡眠をとるのが良いと言われています。東西方向に寝ると、腰部を横に走る経路、「帯脈」が刺激されて、気のエネルギーの循環が回復するからです。
ですから、北枕かどうかを気にするのではなく、ご自身の体調に合わせて、南北方向に寝るか東西方向に寝るかを決めるようにしてはどうでしょうか。