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女神に嫉妬されるから

差別ではありません。「女性の神様が女に嫉妬する」という理由です。山の神様は女性で、醜い姿をしていると言われています。この神様の嫉妬を買わないために、その山には女性が入ってはいけない、というルールがあるそうです。若くて美人であればあるほど嫉妬されるみたいですよ（笑）

穢れの概念が神道と結び付いた結果

なぜ「女人禁制」の概念が産まれたか。では一番分かりやすい「相撲の土俵」で例を挙げてみましょう。
相撲は古神道の祭事です。建御雷神（タケミカヅチ）と建御名方神（タケミナカタ）という二人の男神同士の争いに起源があるとされます。またその後、西暦4世紀頃に、当麻蹶速（タギマノクエハヤ）という力自慢の男と、野見宿禰（ノミノスクネ）という同じく力自慢の男が、日本一の力自慢を決めるため戦った伝説が、人間同士の初取組とされています。これらの逸話の登場人物は全て男性です。しかし、この段階では特に女性の立入を禁ずる概念はありません。「死」を「穢れ」とする考え方は古神道にもありましたが、血や女性を「穢れ」とする考え方はありませんでした。
その後、仏教によって「女性は穢れ」の概念がもたらされました。インドには紀元前からカースト制度があり、女性は邪悪で不浄ものとして扱われていました。その影響で仏教にも女性を「穢れ」として扱う概念があります。この概念が大陸を通り、平安時代に日本へもたらされたのです。
ただ、仏教には、ある地帯へ女性の立入を禁じる戒律はありません。ですから、「女人禁制」というルールはいわば古神道と仏教が混ざった日本のオリジナルルールです。古神道と仏教が結び付き、さらに男性中心社会や身分制によって普及し、相撲の土俵＝女人禁制、というルールができたのです。女人禁制の山やお祭りなども、大体これと似た流れです。
「山の神様は女神で、女に嫉妬する」という説もありますが、日本神話では特にこれにまつわる逸話はありません。山の女人禁制は、おそらく仏教と山岳信仰が混ざり、さらに「非力な女性が危ない場所に近付かないように」というルールや、「サンカ」と言われる山の民の存在などが複雑に混ざったものです。